Message
Nadièye Satouré診療所にて 2019年8月
代表メッセージ
フランスで12年前にIT会社を起こし、アフリカ仏語圏でICT施工業務に関わりながら、現地村落に系統電源が行き渡らず電気の無い生活をしている人々が6億人もいることを知りました。
仏語圏に強い日本人ITエンジニアであり、21年のビジネス経験を持つ自分がやるべきことは何か。
それは日系企業としてまず立上がり、官民連携でアフリカに進出し、日本によるアフリカの自立を促す共創プロジェクトを推進する事であると心に誓ったのが2018年春でした。
既に未電化村落にある保健ポストでの製品実証は開始していますが、電気とインターネット接続へのアクセスが可能となり現地から喜びの声が届いています。
このTUMIQUI Project(ツミキ プロジェクト)では単なる機材輸出事業にとどまらず、現地に【Made in Africa】製品を作るアトリエの設置をし、現地の技術学校卒業生を雇用し、将来的には技術移転から権限移譲までを行うことで、自立的な成長につなげていくプロジェクトです。
今後は更に病院、教育、村落など、より良い環境が整う様、セネガルを拠点に他国展開を推進しています。
「早く行きたいならひとりで進め、遠くへ行きたいなら皆で進め」というアフリカの格言がありますが、われわれの流儀は「皆ではやく進めば、もっともっと遠くまで行ける。」です。
大きなインパクトを与える事業には信頼できる仲間が必要です。ビジョンを共有し、より多くの方々と想いを積み重ねながらこの道を進んで行ければと思っています。
代表取締役社長 佐藤 弘一
診療所へ機材設置を行った最中に見た夕焼け
アフリカの広大な大地に電気と通信を
TUMIQUI Project(ツミキ プロジェクト)の旅はアフリカとの出会いから始まりました。アフリカとの出会い、それはすなわち多くの社会課題に直面することでもあります。特に広大な土地が広がるアフリカでは、電気や通信の不足はどこも顕著で、停電は都市部でも頻繁。2,3日電気や水道が止まるのは当たり前という環境です。
そんな中、仕事でウガンダやセネガルで未電化村落の診療所を訪れた際に、夜間早朝の出産に電気が無いため、携帯やランプを口に咥えながら行なっていると聞いた時、この環境を少しでも良くしたい。電気があることで助かる命もあるのではないか、そう思いを強くしたのです。
そこでまず、UHC(Universal Health Coverageユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)分野に注力し、西アフリカを中心にセネガル共和国を事業ベースとすることを決めました。
Bohé Baledji診療所にて 2019年12月
社会課題を解決し、持続性のある事業としてアフリカに関わるには、官民連携が必要であると、国内外の政府機関や省庁、UNIDO(国際連合工業開発機関)やJICA(独立行政法人国際協力機構)など国際機関の方々との連携を開始したのが、TUMIQUI Projectを推進するシュークルキューブ ジャポン社設立の2018年4月でした。
そこから、セネガル保健省と交渉2ヶ月でMOU(覚書)を締結、コートジボワールのビジネスパートナーとも現地事業のパートナーとしてMOUを交わします。また、2020年1月には、UNIDOとの縁からセネガルのサンジャラ市が進めるスマートシティ計画に日本企業として初めて参画するMOUを締結しました。
セネガル保健省事務次官ンベング氏と。覚書締結 2019年5月
電気と通信でSDGsを解決する
ここで携帯電話のデータを例に、電気と通信を考えてみましょう。
アフリカはサブサハラでの携帯加入数は2018年で4億5,600万となっています。それが2025年には6億を超え、サブサハラ全体人口の約50%が携帯電話を持つことになる予測です。(GSMAより)
しかし、携帯電話でのインターネット利用率は2億3,900万人(2018)と携帯加入数に対して約半分に留まっています。なぜでしょうか?それは、携帯電話があっても通信が弱い、プリペイド式で払える分しか通信ができない、充電するのに遠くの町まで行かなくてはならないなど、まだまだ様々な面でインフラが十分でないのです。
今日わたしたちの生活では、道路の舗装と同じくらいインターネットのある環境が生活の重要インフラとなっていますが、それはアフリカも同様です。SMSでモバイルマネーのやり取りをする他に、皆セルフィーが大好きですし、WhatsAppというLINEの様なメッセンジャーでやり取もしたい、Facebookの様なSNSも充電や通信量が豊富なら出稼ぎにいっている家族や友人ともっと利用したいのです。
携帯電話以外にも、医療・教育の現場ではPCやその他機器、農業を効率化するフィンテックなど、様々な場面においてインターネットがあれば多くの課題を解決する糸口となり得ますが、それにはまず電気が不可欠です。
この2つをセットにしてアフリカの未電化村落に電気と通信を届け、SDGsの課題を解決しながら現地ICTプラットフォーマーとなる。それがTUMIQUI Project (ツミキ プロジェクト)です。
ツミキ(TUMIQUI)のビジョンを図にしたツミキピラミッド
ツミキ哲学
われわれの目指す持続可能な事業はアフリカの発展とリンクしています。ここで言う持続可能な事業とは、ものを届けるだけでなく、現地の雇用を増やし、課題に沿った解決方法を見出しながらそれぞれの国が自立的な発展を遂げるようビジネスの基盤作りを後押しする事です。
一部分の経済成長を推し進めてきた時代から、地球全体にとってどのようなアクションが望ましいのかを俯瞰的に見ながら、目の前にある課題に貢献していく、それがこれからの時代の企業に求められるあるべき姿であると考えます。
そして、課題への働きかけを通し人種を超えて互いに理解を深め合い、働く意欲ややりがいを見出せる幸せな事業をひとつでも多く作りたい、そう考えています。
今後、どれだけ電気が普及したとしても、アフリカの未電化人口は無くならないと言われています。西アフリカをフィールドに、その地に合ったソリューションを見出し、電気と通信を軸に様々な想いや技術を積み重ねていく、それがわれわれのツミキ哲学です。